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ポルトガルMBAでの刺激的な日々と、そこで得たもの

2022/03/17

ポルトガルの首都・リスボン在住の細矢孝弘です。ポルトガルに移り4年目を迎えました。これから3回にわたり、ポルトガルでの学業、就職、起業、そしてポルトガルでの生活についてお伝えしていきたいと思います。


ポルトガルで心機一転!


中学生の頃から海外文化に興味を持ち、“海外に出て挑戦したい!”という気持ちが今日までの自分の原動力になっています。

大学卒業後は日本の企業で4年間勤務し、その後JICA海外協力隊に参加、アフリカのモザンビークへ2年間派遣されました。農業省のプロジェクトで地域の零細農家の収入向上プログラムに参加し、活動はポルトガル語で行いました。勤務地は農村地域でしたが、首都マプトではポルトガル人を始め多くの外国人と交流し、その中でポルトガルという国を意識するようになりました。帰国後はJICA帯広に勤務し、留学準備を進めました。

学校選びは時間をかけて行い、アメリカやイギリス、南アフリカなど、気になる学校は仕事の休暇を利用して直接キャンパスを訪問。何をどんな生徒と学ぶのか、実際に教授や在校生と話してみて、学校の雰囲気を掴んでいきました。この旅の中で、出会う人々や街並み、空気感が一番ぴったりきたのがここポルトガルでした日本と通じる食文化、街からすぐ行けるビーチ、ゆったりと流れる時間や開放感がとても魅力的に感じました。

こうして、ポルトガルでMBAを取得することを決意。モザンビークで学んだポルトガル語を武器に、CPLP(ポルトガル語圏諸国共同体)で活躍できる人材になるぞ!という思いも強くなり、Porto Business School、通称Magellan MBAに進学を決めました。


マゼランの意志をついで


人類史上初となる世界周航を達成したマゼランの名前をタイトルにしたMagellan MBA。生徒数36名、半数はポルトガル人ですが、彼らの職種、職歴は様々で世界各国で経験を積んできた強者揃い彼らの英語能力、プレゼン能力の高さに初めは圧倒されました

 一番苦労したのは、ディスカッションにおける発言のタイミング。話は最後まで聞いてから、というのが自分の中の常識でしたが、こちらの授業では人が話しているところに割り込んで、次々と話が進んでいきます。おかげで常に頭をフル回転させ、話しながら考えるというスキルがとても鍛えられました。

とにかく多忙な毎日で、早朝から深夜まで学校で過ごすことも日常。ポルトガル産ワインを片手に朝まで議論し、プレゼン資料を作成した日もありました。プログラムに集まったポルトガル人の生徒たちは、スケジュール管理を徹底しており、週末に家族や友人との時間を作るために黙々と課題に取り組み、平日のうちに終わらせる。さらに、少しの合間にジムに行くなど、そこまで詰め込むか!と思うくらいでした。これは一般的なポルトガル人というよりも、これまで経験を積んできたビジネスマンとしての慣習なのかもしれませんが。

そして、ポルトガル人はコーヒーが大好き!朝一、授業の合間、タバコの後・・・気づけばエスプレッソを片手にリラックスしています。そんなコミュニケーションの時間もポルトガルならではだと感じました。

彼らからはオンオフのメリハリのつけ方を学びました。想像を超えた大変な日々でしたが、“戦友”と怒涛のプログラムを乗り切りました。今となっては良い経験だったと笑って話せます。


心に刻まれたプログラム


MBAプログラムの初めにこんな授業がありました。

あなたが死んだとき、お葬式であなたの親、兄弟、友人、パートナー、上司、同僚などはどんな弔辞を言うと思いますか?

そして、あなたはどんな弔辞を言われたいですか?

現在の自分を理解し、将来なりたい自分の未来像を描くワークショップで、社会の様々な人間関係の中から、多角的に自己分析するというものです。現在の“孝弘さんは常に海外に出て果敢に挑戦していた”から、将来は“海外で成果を残し、社会に貢献、人々に夢や目標を与えた人でした”と手帳に書き込みました。将来の目標に一本の軸ができると、その目標に対してブレずに進むことができます。今でもこの目標は自分の中での基礎になっています。

最も印象に残ったプログラムの一つが、Sailing with CEO

企業の社長と生徒がヨットに乗り込み、ポルトを流れるドウロ川から大西洋の河口まで帆船を操縦し結束を強めていく、というユニークな手法のチームビルディング。

ほぼ全員がセーリング未経験の中、風向きや川・潮の流れ、近くのヨットの軌道を読み、仲間と協力しながら船を目的の方向まで最も効率良く進める、という一連の流れをビジネスマインドに置き換えることのできるプログラムで、即時の判断能力同僚との連携が求められました。

灯台のある防波堤を越えて海に出ると、荒々しい波が待ち受けていました。沖からの風を受け、帆船がほぼ90度傾き、今にも身体が水面に着きそうになりながらもロープを類寄せて船を前進させる。インストラクターがついているとはいえ、命がけの状況に集中力は高まり、最高のパフォーマンスができました河口に戻り、安堵の一息をついて見るポルトの景色は絶景でした


ポルトガル一年目の集大成とその先へ


MBAの最終課題は、3ヶ月のインターンシップによる企業の課題を解決するというプログラムでした。派遣されたのは、ポルトガル最大手のビール会社SUPER BOCKアジアの市場に進出するための、優良な国選びとその戦略の策定が課題でした。

SUPER BOCKは広告手法に定評のある会社で、ポルトガル国内では人々の目にとまり、記憶に残るイメージやフレーズを数々生み出しています。また、既に中国市場へ参入しており、アジアで次の一手を模索しているところでした。広報部や海外戦略担当との意見交換は実例も踏まえた議論もあり、とても有意義で、考えもしなかった視点からの質問に戸惑い、プランが白紙になることもありました。しかし、担当者は気さくで、部署間を超えた横の繋がりもあり、風通しの良い職場環境であると感じました。最終的には、MBAで学んだ様々な手法を駆使して客観的にマーケットを選択。日本と韓国の比較の末、韓国を選ぶ結果となりました。私を含め担当者も日本市場が最も魅力的だろうと仮定していたため、結果には全員が驚いていたようです

このインターンシップでは企業のみならず、投資貿易振興庁などの担当者とも打ち合わせをする機会があり、ポルトガルで産官学それぞれとの働き方や文化を体験できたことは、自分の中で大きな自信となりました

最終課題に取り組むころ、日本には帰らずにこのままポルトガルもしくは欧州に残ることを決め、就職活動も始めました。

次回のコラムでは、ポルトガルでの生活ネットワークづくりなどについてお伝えしていきたいと思います。

◎ ポ ル ト ガ ル か る た 著 者 リ レ ー ◎

~福田恵理さんから細矢孝弘さんへ~

Q. 今後モザンビークで働く可能性も高いので、現地の生活に関するお話にとても興味があります!モザンビークとヨーロッパのポルトガル語の違いで苦労したお話などがあれば教えて頂きたいです。

A. モザンビークのポルトガル語はヨーロッパのポルトガル語を基本とした文法・発音だと思います。特徴としては、一つ一つの単語がはっきりと発音され、ゆったりと落ち着いた感じですが、シェイッ!ポーラッ!!アリーッ!!!など、驚きや感情を表す効果音のような表現が豊かで、とてもリズミカルかつパワフルだと感じました。特に地方ではその傾向がより強く、これは現地語の影響が多いと思います。私の活動していたイニャンバネ州では、シツワ語マツワ語が話されており、活動のために挨拶程度の言葉は覚えました。首都マプトで話されるポルトガル語は地方と比べ訛りも少ない傾向にあります。マプトを含む南部モザンビークでは、シャンガナ語が話されているので、ぜひ学んでみてください。初対面の方に少し話してみると印象がとても良くなると思います。 私にとってポルトガル人が話すポルトガル語は、波を打って流れるような言葉だなぁという印象を受けました。しかし、会話をするとなると、話す速度が速いはっきりと発音されない音が多いなどの難しさを感じました。

■Memo:
福田さんからのバトンを繋ぐ3人目の著者は、細矢孝弘さんです!

日本とは文化や人々の視点も一味異なる環境下でのビジネスというのは、その面白さの裏に想像を超える大変さがあるものだと思います。MBAで仲間と共に数多くの刺激的な体験を積んだ様子が目に浮かんでくるようでした。

そして、モザンビークでの海外協力隊としての活動がポルトガル語圏との出会いだったという細矢さんですが、桐山シルバさんのチェコ、福田さんのスペインと、ポルトガルへ辿り着くまでの入り口が様々で、各々のストーリーがあって、それもまた面白いですね・・・!

次回もお楽しみに!

細矢さん、ありがとうございました!

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