一年前にも書きましたが、大切な内容なのでもう一度確認していきましょう。
医療費がかなり掛かった人は、医療費控除を受ける事により税金が戻って来ます。今回は、医療費控除について令和4年3月31日現在の法令に基づき説明します。
医療費控除を受ける条件と計算方法
ご本人は勿論、ご本人と生計を一にしている家族分の医療費を支払った場合には、医療費控除を受けることが出来ます。
医療費控除額は、
支払った医療費-保険金等-10万円(所得金額の5%の方が低い場合は、その5%)
となります。
例えば、給与の所得金額が400万円で、年間の支払った医療費が15万円。保険金無しであれば、
15万円-0円-10万円=5万円
が医療費控除額となります。
ここでポイントです。
「医療費」とは、
- 治療の為の医療費・薬代の支出。医師の指示により購入した医薬品等。
例えば、病院の治療費、薬局からの薬の購入、治療の為のうがい薬。 - 予防の為の支出は、医療費控除の対象にならない。
例えば、インフルエンザの予防注射、健康飲料の購入代、予防の為のうがい薬。 - どちらか不明なものは、専門家にご相談ください。
例えば、通院の為の交通費は、医療費控除の対象(自家用車のガソリン代は除く。タクシーの場合は一定の理由が必要です)。
検査費用は、検査で重大な疾病が発見された場合は医療費控除の対象。
「支払った」とは、
1月1日から12月31日までに現金で支払い済みのもので、未払いは対象外です。ただし、クレジット払いの場合は、12月31日までに債務が確定したものとなります。
「生計を一にしている家族分」とは、
配偶者、子(就職していても、親許から通勤して、食事も専ら一緒にしている場合は含む)、両親(別居でも、生活費を送っている等金銭的に面倒をみている場合は含む)が該当します。生計を一とは、生活の面倒をみているということです。税務上の扶養親族に該当しなくても医療費控除を受けることが出来ます。従って、税金の負担が一番高い人に医療費を集めると良いです。

医療費控除を受ける為の資料
- 医療費通知書(医療費のおしらせ。概ね9月までの内容が記載されている。)
- 自由診療で受けた医療費領収書(金歯を入れた場合等)
- 医療費通知書に記載されていない領収書(例えば10月以降のもの)
- 薬局等で買った薬等で、医療費控除の対象になる領収書
その他、医療費控除の対象になるもの、ならないもの
マスク購入費は、原則医療費控除の対象になりません。
PCR検査代は、医師の判断でPCR検査をした場合は、自己負担分は医療費控除の対象になります。医師の判断以外で、ご自身の判断でPCR検査をした場合は、原則、医療費控除の対象となりません。しかし、PCR検査の結果が「陽性」で引続き治療を行う場合は、PCR検査代は医療費控除の対象となります。
オンライン診療代は、概ね医療費控除の対象となりますが、医薬品の配送料は医療費控除の対象になりませんので注意をしてください。
セルフメディケーション税制について
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品の購入(薬局のレシートに明記されています)があり、医師の関与がある①特定健康診査②予防接種③定期健康診断④健康診査⑤がん検診を行っているときは、上記医療費控除と選択により、以下の金額に関して医療費控除の特例を使う事が出来ます。
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品の購入代金-保険金等-12,000
※88,000円が控除限度となります。
実務上殆ど使われていません。お医者さんの支払よりも薬局からの薬代が大きい場合でないとセルフメディケーション税制を使うケースは少ないです。
税金が還付される場合には、医療費控除を活用すると良いでしょう。
それでは。良い一日を!!