昨年12月に令和7年の税制改正大綱が出ました。今回は、法人等に対する税金関係の内容をまとめたいと思います。記載内容は、令和7年1月8日現在の資料となります。その後の税制改正で差異が生じた場合は予めご了承ください。
法人税
①中小企業の軽減税率
所得金額が10億を超える事業年度では、800万円以下の部分の税率を15%から17%へ引き上げをする。
②防衛特別法人税の創設
防衛特別法人税額=課税標準法人税額×4%
課税標準法人税額=基準法人税額―基礎控除額
基準法人税額=所得税額控除前の法人税額
基礎控除額は、年500万円
年500万円以上の法人税を支払う法人は、その超過した金額の4%を防衛特別法人税として追加負担する。令和8年4月1日以後開始事業年度より適用。所得税については、見送りとなりました。
その他
①企業型確定拠出型年金、個人型確定拠出年金、国民年金基金の加入限度額の引き上げ
月7,000円の引き上げとなる。
②退職金課税強化
退職手当を受け取った年以前9年以内に老齢一時金を受け取っていた場合には、退職所得控除の重複は制限される。
老齢一時金とは、確定拠出年金を一時金として受け取ったもの。
二度目に受け取る退職手当からは、老齢一時金は除かれる。
イデコ等の確定拠出年金を退職一時金としてもらい、10年以内に別の退職金をもらった場合に退職所得控除の重複は制限される。従って、以前よりもイデコの節税効果が縮減します。
令和8年1月1日以降に老齢一時金をもらい、かつ同日以後別の退職金を受給した場合に適用。
今回の税制改正で影響が大きい部分です。イデコを活用している方は注意です。国が投資を薦めていても後から税制改正で不利となる場合があります。退職所得課税については、退職所得控除額についても税制改正があり今後も注意が必要です。私見ですが、退職金については課税を重くする方向は止めてもらいたいです。長期的な資産形成に影響が大きいからです。
③外国人旅行者の消費税免税制度
消費税込みの金額で販売され、国外に持ち出されたことが確認された場合に消費税相当額を返金するリファインド方式を採用する。
令和8年11月1日以後の譲渡より適用。
外国人旅行者が日本で買った免税商品を出国前に売却している税逃れを封じる為に作られました。
まとめ
給与所得控除額65万円と基礎控除額58万円となり、123万円の新たな壁が出来ました。国民民主党の主張する178万円を目指して、来年度から引き上げについて関係者間で協議を進めることとなった。私見ですが、社会保険と税金が年末働けば働くほど手取が減る法令は問題である。もっと現場で働いている人の意見を考えた法制度が必要です。
子育て世代への優遇税制も今回の税制改正の特徴です。
イデコについては、今回の改正で退職金課税が良いのか?年金課税が良いのか?の試算が必要となりました。
法人税については、規模の大きい会社への課税強化と防衛特別法人税が作られました。大きな改正点はありませんが、今後の税制改正の動向を見守りましょう。