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Excelに頼る日本企業の未来は、進化か停滞か?(2/2)

2025/05/22

前回は、日本企業に見られる、Excel依存の課題についてお話しました。今回は、Excel依存からの脱却について解説します。

脱Excelのために必要な3ステップ

▶ STEP1: 必要なツールの選定

まずは、Excelの本来の役割でない部分に関しては、Excelに代わるツールの選定が必要です。例えば、オールインワンのワークスペースツールを導入することは、とてもおすすめしたいです(私はNotionを使っているので、この記事ではNotionをベースにお話ししますが、もちろん他の類似ツールでも構いません)。このようなツールでは、Excelで行っていた様々な業務を一元管理できます。データベース機能でスプレッドシートの代替としても使用できますし、ドキュメント作成、タスク管理、ナレッジベースの構築など、複数の機能を統合的に活用することも可能です。さらに、これらの機能が相互に連携することで、業務の流れをシームレスに繋げることができ、情報の分断や重複を防ぐことができます。

▶ STEP2: チームでのデジタルツール活用の促進

「チームに受け入れられる」ということも、最初の重要なハードルのひとつです。私が使用しているNotionの場合、直感的なインターフェースと柔軟なカスタマイズ性に長けていて、チームメンバーが抵抗なく新しいツールを受け入れやすい環境を作りやすいようになっています。リアルタイムのコラボレーション機能を活用することで、チーム全体での情報共有とコミュニケーションが円滑になります。また、各メンバーが自身の業務スタイルに合わせてワークスペースをカスタマイズできることで、個人の生産性も向上させることができます。さらに、テンプレートの共有や相互学習を通じて、チーム全体のデジタルスキル向上を図ることができます。

▶ STEP3: 内製化とデジタル人材育成

最終的には、デジタルツールを使いこなせる人材を育成することで、業務プロセスの改善や効率化を自社で推進できるようになります。例えば、Notionでは、DB間のリレーション設定やOracleのようなRDB構造の構築も可能です。さらに、オートメーションなどのローコード機能を使って、簡単なシステムを構築することもできます。実務に即したテンプレート作成やワークフロー最適化を通じて、実践的なデジタルスキルを向上させることができます。また、社内でのベストプラクティス共有や定期的なスキルアップセッションにより、継続的な学習環境を整備することが重要です。これらの取り組みにより、外部への依存度を下げながら、自社の業務に最適化されたデジタル環境を構築できます。

日本企業が変わるために必要な4つの視点

▶「Excelに頼る理由」を再評価する

従来Excelで行っていた業務を見直し、例えばNotionのデータベース機能やビュー機能を活用することで、より柔軟で効率的な業務遂行が可能になるというお話はこれまでしてきた通りです。特に、複数人での同時編集や変更履歴の管理、処理の自動化など、Excelでの課題になっていた点も機能を活用することで解決できるのは大きな利点です。データの更新がリアルタイムで反映され、常に最新の情報を共有できる環境を整備することは、情報の正確性と信頼性を高めることに繋がります。さらには、APIやウェブフックを活用することで、他のツールとの連携も容易になり、より包括的なデジタルワークフローを構築することができます。一方で、Excelの本来の強みを活かし、表計算ソフトとしての数値計算機能や、データベースと連携したレポーティングツールとしての機能を効果的に活用することも忘れてはいけない重要なポイントです。

▶ 業務の透明性を高める仕組み作りを

DXの成功には、いかに業務の透明性を高めるかというのも欠かせない視点のひとつです。Notionでは、権限管理やページの階層構造により、必要な情報に必要な人がアクセスできる透明性の高い環境を構築できます。また、AIアシスタント機能を活用することで、ドキュメントの作成や情報の整理も効率化できます。さらに、タグやメンション機能を活用することで、関連する情報や担当者を素早く特定でき、業務の進捗状況や課題を可視化することができます。これにより、チーム全体での情報共有が促進され、意思決定のスピードも向上します。

▶ 成功事例から学ぶ変革の第一歩

すでにNotionを導入している先進企業の事例を参考に、自社に適した活用方法を検討するのは有効です。特に、Excelからの移行プロセスや、チーム全体での活用方法については、具体的な成功事例から学べることも多くあります。もちろん、失敗事例からも重要な教訓を得ることで、同じ失敗を繰り返さないための予防策を講じることができます。業界や企業規模が異なる事例からも、応用可能なアイデアや工夫を見出すことができることがあるので、幅広い事例をチェックすることをおすすめします。

▶ 幹部社員層の変革が不可欠

そして、最もハードルが高く、ボトルネックとなりうる(けれど絶対に欠かせない)のが、幹部社員層の変革です。せっかく現場が新たなツールを使い、効率化や自動化を図ろうとしても、幹部社員が認めなかったり、これまでの業務(Excelドキュメントや対面打合せ、紙でのレビューなど)に固執していると、組織として変革することはできませんこのため、幹部層に対しても、デジタルツールがもたらす具体的なメリットや、競合他社との差別化要因としての重要性を丁寧に説明し、理解を得ることは、最重要のミッションといっても過言ではないでしょう。段階的な導入計画を提示し、リスクを最小限に抑えながら変革を進めることで、幹部層の不安を軽減するというアプローチは有効です。

まずは小規模なチームや特定の業務から始め、成功事例を積み重ねながら、組織全体への展開を図りましょう。定期的な振り返りとフィードバックを行うことで、継続的な改善を進めていくこと。さらに、変革の過程で生じる課題や抵抗に対しては、丁寧なコミュニケーションと支援体制の整備により、組織全体での理解と協力を得ること。導入を進める責任者は丁寧に、幹部層はオープンに。この姿勢が組織の変革には不可欠です。

短期的な成果だけでなく、中長期的な視点での価値創造を目指すことで、持続可能なデジタル変革を実現することができます。

まとめ:“Excel脱却”がもたらすこと

Notionのような統合的なワークスペースツールを活用することで、単なるExcelの代替ではなく、より創造的で効率的な業務環境を実現できるというのはご理解いただけたかと思います。業務プロセスの自動化や効率化に成功すると、社員がより価値の高い業務に注力できる環境を整備することができます。また、データの分析や可視化機能を活用することで、より戦略的な意思決定をサポートすることも可能になります。

新しいツールへの移行は、単なる技術的な変更ではなく、働き方そのものの変革です。このような変革に対して、組織全体で前向きな姿勢を持つこと失敗を恐れず、試行錯誤を重ねながら最適な活用方法を見出していく姿勢こと。継続的な学習と改善の文化を確立することで、組織全体のデジタル成熟度を高めることができます。

2回に渡り、日本企業におけるExcel依存についてお伝えしてきました。
細かくお話をしてきましたが、ざっくりとポイントは2つになります。

  1. ツールの特性が生きる使い方ができているか見直し、時には脱却の決断をすること
  2. より適切なツールがある場合は積極的に(かつ段階的に)取り入れること

ぜひ、できることから一歩ずつ、チャレンジしてみてください。

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