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デジタル時代のシステム(SoR,SoI,SoE)を理解する

2021/08/24

今回は、デジタル時代のシステムについてご紹介します。

最近、システムの事を指す時に「SoR」や「SoE」という言葉が使われています。
システムは昔からありますが、最近のデジタル時代のシステムは何が違うのかをご紹介します。

従来のシステムは記録(Record)するための意味合いが強かったため、SoR(System of Record)と言われています。一方で、その記録して蓄積されたデータを集計したり、分析したりして情報(Insight)を活用するシステムのことをSoI(System of Insight)と呼びます。更に、コンピュータがより身近になり、業務端末などとしてお客様に直接接するタッチポイントとして活用されることが多くなったことで、業務に従事(Engagement)するシステムのことをSoE(System of Engagement)と呼ぶようになりました。


「SoRもSoEでは?」~SoRとSoEを分ける大きな違い~


この話を聞いても、これまで社内でシステムを利用してきた人は、「SoRだって経理業務や受発注業務に従事しているので、SoEではないか?」と疑問に思うかもしれません。確かに、経理業務や受発注業務を実行するという意味では、会計システムや販売管理システムもSoEであるように思われるかもしれません。しかし、そのシステムは、誰でも簡単に使えるシステムになっているでしょうか?また、そのシステムは、自社サービスの売上に貢献するシステムになっているでしょうか?

SoRとしてのPOSシステム

例えば、POSシステムを例にすると、従来のPOSシステムは、(たとえそれがアルバイトスタッフであったとしても)ある程度の教育を行った上で使えるようになります。商品のバーコードを読み取り、必要に応じてキーボードやボタンを入力し、お客様から受け取ったお金のデータを入力して、算出された金額のお釣りを手渡します。こういった業務は、スタッフも含めたサービス提供者側が利用する前提のシステムです。つまり、誰でも使えるシステムではなく、短い期間でも研修などを受けたスタッフしか扱うことができません

SoEとしてのECシステム

一方で、ECサイトについて考えてみると、ユーザーがECサイトで商品を選んで、会計処理を済ませ、配送するまでの手続きを行い、スタッフのサポートはほとんど必要有りません。ECサイトでは、システムの利用者が業務知識を持たなくても目的を達成できています

また、店員の仕事は会計処理だけではありません。お客様との会話から「こんな物もいかがでしょうか?」と提案して売上に貢献する接客業務も仕事として遂行しています。一部のECサイトでは、接客業務についても、決済時などに「一緒にこんな物も買ってはどうでしょう?」と提案して売上に貢献しています。

SoEを支えるSoI

この提案内容に不可欠なのが、“該当商品を一緒に買うとお客様にとってメリットがある”という過去の販売実績データなどから割り出された分析結果です。つまり、店員が過去の経験を基に接客しているように、ECサイトではSoIのデータから判断し、SoEとしてお客様に買い合わせ提案をする接客も行えるようになっているのです。

つまり、専門知識を有する人が使うシステムがSoR誰でも使え、サービス向上や売上貢献に繋がるシステムがSoEと捉えることもできます。


SoEが発展した背景としてのタッチポイントの変化


これまで様々なサービスは、人が接するのが基本でした。

コンシェルジュサービスなど、その提供するサービスの質が高いサービスはハイタッチ、セルフサービスなど、必要最低限なサービスしかしないサービスはロータッチと言われてきました。そのイメージから、システムを活用した自動化は、安いロータッチサービスとみなされることがほとんどでした。

SoIとSoEで生まれたテックタッチ

しかし、最近はデジタル=ロータッチではなくなりつつあります

これは、デジタルサービスによって提供されるサービスのカバー範囲が、単純作業としての会計処理に留まらず、お客様に提案したり、過去に買った商品のフィードバックも集めたりと、これまで優秀な店員が行ってきた業務にまで広がったからです。最近のAmazonは、一緒に買うものを提案するだけでなく、Alexaを通じて、過去に買ったものへのフィードバックを集めるようになりました。客は、わざわざECサイトに訪問せずに、スマートスピーカーにしゃべるだけでフィードバックすることができるようになったのです。

SoEへと進化しつつあるPOSシステム

先述したSoRとしてのPOSシステムも、セルフ決済やセルフレジなど、消費者自身によって決済やレジをできるようになり、テックタッチなサービスが広がりつつあります。今後は単純な会計処理だけではなく、一緒に買うものをPOSが提案したり、過去に買ったものへのフィードバックや、お困りごとまで聞いてくるかもしれません。


経営観点でのSoRとSoE、SoIの違いを知る


経営者としては、デジタルでどんどん自動化を進めて人件費を削減するという観点だと、単純業務の自動化であるSoRに留まってしまい、なかなかSoEの実現までは辿り着けないでしょう。現在の提供サービスの本質を突き詰め、そのサービスをデジタル化するという観点であれば、より多くのデータをSoIによって集めて分析し、そのサービスをSoEとして提供することで、ビジネスを拡大していくことが期待できると思います。

もちろん、現在のサービスを全てデジタル化する必要はありません。どちらかというと、現在のハイタッチサービスをデジタル技術によってよりよいサービスへと進化させることが重要です。先述のAmazonでも、レジのないAmazonGoの店舗に店員がいないわけではなく、商品について相談できる店員、つまり、ハイタッチサービスを提供できる人材が店内にいるようです。

自社サービスの本質によって活用すべきデジタル技術は変化する

自分の会社のサービスの強みは何なのか?を深堀りし、その結果によって採用すべきデジタル技術も変化します。自動化を推進してとにかく安く提供するのか、データを集めてそれぞれのお客様の個性に合わせたサービスを提供するのかによって、デジタルへの投資へのスタンスも変わります。

つまり、「デジタル」の一言をとっても、短期的な視点で小規模投資によるコスト削減を狙うのか?自社競争力強化に向けて長期的な視点で投資をするのか?経営者の判断によって大きく変わるのです。

デジタル担当者であれば、この辺りの狙いを経営層に確認した上で、具体的な施策を立案する事をオススメします。

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