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#4 “サッカー部門”で活きているコンサル時代の経験・スキル

2022/02/22

コラム#3では、現在私が強化部(=サッカー部門/スポーツ部門)で担当している業務の多くが、実はコンサル時代と大差がないことを紹介しました。世の中のスポーツ部門において、もっとビジネスの専門人材が流入し、競技としての専門人材と融合・相乗効果を図ることができると、日本のスポーツ業界はさらに強靭に発展するものと確信しています。

そのような背景もあり、今回のコラムでは、スポーツ業界を目指すコンサルタントの方々を主な対象読者として、コンサル時代にどのようなスキルを身に着けていればスポーツ部門で価値を発揮できるのかについてご紹介させていただきます。


コンサル時代の経験


私は新卒で総合系コンサルファームに入社し、幸いにも希望通りに、戦略立案~業務支援まで幅広い経験をさせてもらいました。その中でも、特に自分の成長を感じられ、記憶にも残っている案件を下記に列挙します。

■事業戦略案件

  • WEBメディア企業 ブラジルを始めとする南米市場進出戦略立案支援
  • WEBメディア企業 全世界12ヶ国を対象とした新規市場進出戦略立案支援
  • 広告代理店 スポーツビジネス新規事業戦略立案支援
  • 広告代理店 オープンイノベーション構想化支援
  • 新聞社 新規事業としてのWEBメディア立ち上げ支援

■業務支援案件

  • WEBメディア企業 プライバシーデータ利活用基盤構築のPMO支援
  • 銀行 システム部門におけるシステム刷新対応のPMO支援
  • 流通系金融機関 システム部門における業務改善

強化部(スポーツ部門)で役に立っているスキル


スポーツ業界は、そもそも数の観点から人材が豊富な業界ではありません。また、スポーツ部門はその中でも特にビジネス人材が稀有な部門です。そのため、「頭」を使って戦略立案や企画、組織マネジメントをしながら、自分自身もプレイヤーとして「手足」を動かせることが求められます。「指示を出すだけ」「指摘をするだけ」「発想をするだけ」では、単なる「批評家」や「空想家」に終わってしまうでしょう。なぜなら、自分がアイディアだけを出しても、それを実現するためのリソースがクラブ内には多くないからです。

スポーツ部門だけでなく、経済的には中小企業であるプロスポーツクラブ全般に対して言えることですが、自らアイディアを出し、それを実現するために自ら主体的にタスクの設計・実行ができる人材こそが十分な価値を発揮できます。もし現職において、会社の風土やメンバー構成上、上司や先輩からの指示待ちが多くなってしまっている方は、まずは自らのタスク設計や課題・進捗の管理をやってみる経験を積んだ後にスポーツ業界に挑戦してみても、決して遠回りではないでしょう。

コンサルティングファームでは「自らの答えを持つこと」は特に口酸っぱく言われるので否が応でも思考の癖は付くものですが、私自身も総合系ファームで前述のとおり上流から中流まで幅広く「頭」も「手」も動かした経験が、スポーツ部門で働くにあたり全てのベースとなっています。具体的には、コンサル時代に培った下記のようなスキルが役立っていると感じます。

  • 戦略的なストーリーの構築
  • 部門組織内に様々な利害関係者がいる中、組織としての最適解を模索するための構造化思考
  • 課題発見、課題解決に向けた業務改善の設計
  • プロジェクトマネジメント(タスク設計、課題管理、スケジュール設計)
  • ExcelやPowerPointを利用したフォーマット類の構造化
  • Excelを利用した基本的なデータ分析
  • 論理的かつ構造的な文書作成(※軽視されがちですが、全ての仕事の基本であり、かなり重要)
  • 基本的な会計知識(簿記2級程度)
  • 英語でのビジネスメール
  • 新しい業界へのキャッチアップ力
  • 年齢/業界などが多種多様なクライアントや、プロジェクトベースで様々な同僚/上司と働いてきた対人感覚

見て頂ければ分かる通り、コンサルタントとして直属の上司や部門全体にパフォーマンスが評価された中で2~3年ほど働いた経験があれば、スポーツ部門においても十分に価値を発揮できるでしょう。私はシニアコンサルタントになってから転職しましたが、コンサルタントやアナリストランクであっても、プロジェクトをリードした経験があれば問題なくパフォームできます。反対に、能力面では抜群であっても、マネジャーレベルまで昇格したコンサルタントにとっては、転職後の給与ギャップが大き過ぎてチャレンジに踏み出すことは中々難しいでしょう。その意味で、個人的な所感としては、コンサルタントやシニアコンサルタントランクが、スポーツ部門(広く言うとスポーツ業界)に挑戦するには最適なタイミングかもしれません。


最難関のハードルは「業界に入る」こと


私もスポーツ部門に入ってからより一層痛感することですが、やはり狭いサッカー界において、人材採用は属人的な「人脈」に頼るケースが多いです。人脈の広さは、絶対的な強さを意味します。おそらく多くのコンサル出身者は、一度採用されてしまえば目に見える成果を上げられると推測しますが、そもそもスポーツ部門への入口を見つけることが最も難しい挑戦になります。もし同部門で働くことに挑戦してみたいのであれば、クラブの経営層や部門責任者レベルを筆頭に、それが難しいなら、コーチ、メディカルスタッフ、マネジャー、複数のクラブとのリレーションを持っている代理人など、トップチームまたは強化部に関わる関係各所の誰かしらと、何とか人脈を作ることが最初のステップになるでしょう。ちなみに、履歴書をクラブの窓口に送ってくださる方も多いですが、人となりを知っていることの安心感が重要視されるスポーツ界においては、それだけでは他の希望者との差別化を図ることができず、率直に申し上げると採用プロセスに進むことは非常に稀です。

スポーツ部門におけるビジネス人材へのニーズは、まだまだ可視化されていないのが現実です。例えば、プロサッカークラブのアナリストは、スポーツ系の学部において、学術的な学び・経験を得た若手人材がプロチームに採用されるケースが増えつつあります。一方で、スポーツ部門のビジネススタッフについては、まだその域には至っていません。私自身、使命感を持ってニーズの顕在化に取り組む必要性を日々感じていますし、今後も本コラムを通じてその発掘の一助になりたいと考えています。

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