今年の1月に税理士会の新宿支部創立75周年記念講演として開催された杉村太蔵氏の講演へ出席しました。テーマは、「一緒に考えたい、民主主義と税制」です。今回は、薄口評論家として有名な杉村氏の講演内容をまとめたいと思います。
杉村さんのこれまでのお話
最初の話は、筑波大学を中退し、就職活動氷河期になかなか就職が決まらない時に、派遣会社に登録し清掃員として働くことになったときのことについてでした。
以下は、杉村氏の話を簡単にまとめたものになります。
その時の清掃場所がドイツ証券(総理官邸の裏)だった。ドイツ証券での清掃員としての仕事ぶりが良かったので、ドイツ証券の営業部グレン氏から「うちで働かないか」と言われ、入社することに。いきなり営業は無理なので、株式調査部で働くことになり、そこで佐藤部長との出会う。
佐藤部長から入社の条件が出された。「俺からの電話は、5秒以内に出ろ」。
真意は、連絡がつかない人はダメ、連絡のつく人になりなさいということだそう。“東大出るよりも携帯出る人が使えます”と冗談を入れて話されていました。杉村氏は、このことを今でも守っているといいます。
ドイツ証券へ就職後、郵政民営化の波があり、会社から日本の選挙動向を調べるように指示があった。調べている最中に自民党のHPと出会い、衆議院議員候補者の募集中の知らせを見つけ応募し、合格した。そして、衆議院議員に立候補し、比例当選。当選した時に、「料亭に行きたい」発言で炎上する。
その時の武部幹事長におしかりをうけた裏話も聞けました。
元総理の岸田さんのもと、厚生労働委員会で若者の労働問題を研究するも、次の選挙で落選し、無職となる。落選後2~3日は奥さんからのねぎらいの言葉があったが、4日目に「お豆腐とお肉を買って来て」と言われる。
無職の時に、テレビ番組のサンデージャポンから電話が入る。佐藤部長の教え通りすぐに電話に出て、コメンテーターとなる。
大阪万博の話もありました。万博が赤字の場合には、だれが負担するのか?もし儲かったら誰が利益を得るのかを決めない状態なのがチケットが売れない原因だと話されていました。
「民主主義と税制」について若い世代に伝えるには
学生さんへ金融投資を教えるよりも「民主主義と税制」を教えた方が良いと話されていました。
生徒さん30人から1人1万円、合計30万円をもらい、皆にとって良い使い方を考えてください。5人グループで考えて発表してください。
1万円は税金。30万円は税収です。
代表者が使い方のアイディアを発表する。代表者は選挙の立候補者と同じです。
ただ聞いているだけではダメで、立候補者へ質問する事も大切です。皆で議論する。自分の意見を持つこと。自分とは違う意見に耳を傾けること。少数意見を尊重する事も大切です。
最後に実際に投票し、1つの意見にまとめます。
決まった後に、ちゃんと正しく使われているかをチェックすることも大切です。政策評価をすることに通じます。一定期間が過ぎたらまた選挙をする・・・任期があることを教える。投票率100%なので、非常に盛り上がる選挙となります。
このワークを通して、民主主義の基本を学ぶことができます。例えば、お金持ちとお金の無い人も同じ1万円で良いのか?という疑問が生徒さんから出ます。そこで、所得税では、累進課税で税を負担してもらっているということを伝えます。
「民主主義と税制」の内容は、税理士会で行っている「租税教育」とほぼ同じ内容です。
私が行っている租税教室に関するコラムも下のリンクからぜひ確認してみてください。
「税を通して社会を考える租税教室」
最近投票率が低いですが、「民主主義とは何か」をちょっと考えるのも良いと思います。