特定の業務に対する報酬(コンサルタントや税理士)を支払う際に、所得(源泉)税を源泉徴収(天引き)する義務があります。
源泉徴収義務があるかどうかはしっかり確認
1.報酬等を支払った者が、源泉徴収義務者である。
源泉徴収義務者とは、原則として、法人や個人事業主で給与の支払がある者。
したがって、源泉徴収義務者でなければ、報酬等の支払時に源泉徴収する必要はありません。
2.支払相手が個人である。
特定の業務とは、所得税法204条で規定されています。
数が多いので、代表的なものでは、コンサルタント・税理士等の専門家への報酬。原稿料・講演料・デザイン・翻訳の報酬があります。
実は、実務でも迷うケースが多いです。
例えば、個人事業主であるシステムエンジニアへの報酬は、源泉税を天引きする場合としない場合があります。所得税法204条に該当する場合には徴収すべきですが、実務上、迷った場合は源泉税を徴収した方が良いと思います。
個人事業主であるWEBデザイナーへの報酬の内、デザインの報酬、写真の報酬に該当する金額に対しては源泉税を徴収します(例外でデザイン、写真の報酬が少ない場合、源泉税を徴収しなくても良い場合有り)。ただし、コーディングへの報酬に対しては、源泉税を徴収する必要はありません。
また、報酬等の範囲には、謝礼、交通費等の異なる名義で支払いがなされていても報酬等として源泉徴収が必要となる場合があります。特に交通費は注意です。例外的に、交通費部分は立替で支払っている場合は、領収書に報酬を支払っている者を明記していれば源泉税を徴収する必要が無いケースもあります。
源泉徴収金額の計算例と納付のタイミング
源泉徴収金額は、
- 100万円以下 10.21%
- 100万円を超える部分は、(支払金額 - 1,000,000)× 20.42% + 102,100円
上記の計算式で無いケース(司法書士に対する報酬)もありますが、ここでは良く出る事例として計算式を挙げます。
例えば、税抜金額1,200,000円のコンサルタント報酬であれば、
(1,200,000-1,000,000)× 20.42% + 102,100 = 142,940円
1,200,000 × 1.08(消費税)- 142,940(源泉税)= 1,153,060円 が支払金額。
源泉税の金額に端数が出る場合は、円未満切捨てとなります。
源泉徴収義務者が徴収した源泉税は、原則として、報酬等を支払った月の翌月10日までに納付しなければなりません。特例を使える場合は、半年分ずつを7/10と1/20に納付します。
デザイン報酬や原稿料については、原則のみとなるので注意が必要です。
源泉徴収義務者は、源泉徴収すべき報酬を忘れたり、天引きした源泉税を納付しなければ、延滞金を払うケースが出ます。不明な点は税理士や税務署へ確認して、適正な処理をしてください。
最近注意すべき項目として、会社が非居住者の所有している不動産を借りて事務所家賃を支払う場合、下記の2つの条件を同時に満たした時以外は、20.42%の源泉徴収が必要となります。
- 自己またはその親族の居住の用に供する為
- 個人が事務所家賃を支払う
所得税法204条で規定されている源泉徴収義務は、実務上難しい点もありますが、支払先の情報を早めに入手し、事実関係を確認して適正な処理を心掛けたいですね。
