税務調査について、前編と後編へ分けて書いてみたいと思います。
それでは、後編へ。
調査官から売上計上もれの指摘があった場合の対応
事実確認をしっかりしましょう!!
- 今期計上せず、次期に計上されている場合は、「期ズレ」なのであまり問題になりません(多少の税金は発生しますが)。
- 今期も次期も計上されていない場合は注意が必要です。
調査官は、隠蔽があったと言います。隠蔽があった事を認めると重加算税を納付する事になります。調査官は、重加算税を課税出来るとかなりの評価が上がります。従って、重加算税を課税する方向へ誘導する場合があります。重加算税の徴収要件には、仮装隠蔽が無ければ徴収する事は出来ません。従って、隠蔽があったと指摘をします。
納税者の対応としては、単なるミスで計上漏れとなったと伝える事です。金額の大小ではありません。たまたま、ミスで計上が漏れたと伝えます。ミスは隠蔽ではありません。従って、重加算税は徴収されません。税理士でも勉強不足だとこの事が分からない場合もあります。こちらがミスであると伝えれば、調査官の方で隠蔽の事実を証明しなければなりません。隠蔽の事実を証明出来なければ、重加算税は徴収されません。
重加算税が課税されると3~5年毎に税務調査が来る可能性が高くなります。ちなみに調査で間違いがあり重加算税が課税される割合は、約20%です。従って、重加算税が課税されない様にしてください。
消費税の調査について、インボイス開始後まだ経過期間が短いので、多少のミスは指摘で終わると思います。少しずつ請求書や領収書関係を整備すれば良いと思います。
税務署から電話があった場合には、「税務調査」か「行政指導」どちらなのかを確認してください。自主修正申告を促すための行政指導であれば、重加算税は課税されません。「税務署の担当者は、納税者へ調査又は行政指導を行う時に、具体的な手続きに入る前にいずれに当たるかを納税者へ明示することとしています。」となっていますが、実務上は明示されないので、こちらから確認をしてください。
リモート調査(現状、資本金1億円以上の法人対象)についての注意点
最近の調査については、クラウド上のデータやネットバンクの情報照会制度が活用されています。暗号資産についても注意です。
- リモート調査か実地調査かを選ぶのは最終的には国側。
- リモート調査をしても実地調査へ移行する場合あり。
- リモート調査では調査官と長時間対面しなくても良いというメリットがある。
- E-Taxを通じて「リモート調査の実施に関する同意書」を提出する。
リモート調査の同意の中に、「録音、録画及び画面共有機能の利用は禁止する」があります。今まで録音をしていた場合には注意が必要です。
今後は、中小企業にもリモート調査が実施されるかもしれません。
税務調査のポイントまとめ
- 社長様は、事業内容以外はあまり話さない。
- 請求書等書類関係を整備する。
- 顧問税理士と相談し税務調査を受ける。令状が無ければ会社に入れない。現況調査は、忙しいと言って税務調査を別日程にする。
- 実は、調査が長引くと困るのは調査官。
- 重加算税を安易に受け入れない。
- 分からない事があっても動揺しない、後日返答すれば良い。
- 税務署からの請求書等のDLの求めに対応出来るようにする。
- 税務調査で指摘事項がある場合には、指摘事項一覧表を書面でもらう。
税務調査は受けたくないですが、今回のポイントを参考に顧問税理士と相談し、対応してみてください。
