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Claude Code実践で見えた、AI駆動開発のインパクトと代償

2026/02/10

Claude CodeによるVibeCodingなどのAI駆動開発は、ソフトウェアエンジニアの仕事を根本から変えつつあります。海外ではすでに普及が進む一方で、日本はまだ「これから」という温度感です。

しかし、日本だけがガラパゴス的にこの潮流から取り残され続けるとは考えにくいです。ソフトウェアへの投資が抑えられがちな市場環境であっても、開発スピードと競争環境が変われば、AI駆動開発はいずれ本流になります。

本記事では、Claude Codeを用いたVibeCodingで複数のプロダクト開発を回した経験から得た知見を整理し、今後の業界構造の変化もあわせて考察します。

AI駆動開発が「開発プロセス」を変える

これまで、プロトタイプ開発を複数回、ソフトウェアサービスの開発を一回経験して痛感した最大のインパクトは、スピードです。

従来のスクラッチ開発は、概ね次のような長い工程で進んでいました。

  • 要件定義(1〜2月)
  • 設計(2~3ヶ月)
  • 実装(数ヶ月)
  • テスト(2~3ヶ月)
  • リリース

このスケジュールは時間もコストも重いです。そこでPKGやSaaSの活用が進み、設計と開発を短縮してきました。

一方、 AI駆動開発では、設計と実装が一気に「数週間」まで圧縮される場面が増えます。数ヶ月かかるはずだったサービスでも、数週間で動くプロトタイプを作り、トライアル中の指摘やバグを潰して市場に出せる品質に近づけられます。

ただし、短縮されない領域もあります。それが、テストです。

現状のAIは、余計な修正を入れたり、作業の抜け漏れを生んだりすることがあります。その結果として、 テスト工程や検証・手戻りが従来より増えるケースもあります。

「設計と実装が速い」ことは確かですが、最終的な品質に責任を持つ以上、検証の負荷がゼロになることはありません。

人材需要が変わる

開発期間が短縮すると、発注側はコスト削減への期待が高まります。これは魅力的です。一方で、大手SIerにとっては構造的な逆風になり得ます。

これまで、ソフトウェア開発の競争力は大きく「人材獲得」に依存していました。

  • 規模が大きいほど、多人数の開発者が必要
  • フロント/バック、言語、経験年数など要求条件が細分化
  • 必要人材の充足は、そもそも難易度が高い

その結果、中小規模のソフトハウスだけでは立ち上げが難しく、大手SIerに相談しないとプロジェクトが始まらない状況も生まれていました。

しかしAI駆動開発では、これまで「人数」で埋めていた領域の一部をAIが代替できる可能性が高いです。つまり、 需要の中心は「人数」から「能力の質(設計・検証・意思決定)」へ移ります。

エンジニアに新たな負担が生まれる

AI駆動開発は、魔法の杖ではありません。現実はもっとシビアです。海外では、AI駆動開発の進展とともに若手エンジニアが大量に解雇されるニュースが散見されます。

ここで直感に反する疑問が出ます。

企業にとってAIが武器なら、単価の高い熟練エンジニアを減らし、単価の低い若手で回した方が合理的ではないか?

それでも熟練者が残りやすいのは、AI駆動開発がエンジニアに新たな負担を要求するからです。

「書く」から「見る」へ

従来、アウトプットの中心はコードでした。ところがAIが大量にコードを書けるようになると、重要性が移ります。

  • 大量に書くこと

ではなく

  • 品質を上げること
  • 間違いを早期に見つけること
  • 意図と実装のズレを潰すこと

熟練エンジニアが価値を出すのは、AIが書いた設計・コード・動作を見て、誤りを指摘し、修正を促すことです。開発中のAIの挙動を注視し、変な動きをしていないかを監視します。外から見ると「モニターをぼーっと見ている」ように見える瞬間すらありますが、実態はレビューの連続です。

レビューは早いほど手戻りを減らせます。だから熟練者は「成果物が出るまで待つ」のではなく、生成・修正の途中経過に張り付き続けます。

体力ではなく、視覚と脳が削られる

AIと仕事をすると、体力的な負担は減るかもしれません。一方で、視覚と脳への負荷は増えます。さらに高スキルなエンジニアほどスピードに楽しみを覚え、休むことを忘れて進めてしまいます。

体力が無尽蔵のAIと並走すると、壊れるのは人間側です。

重要性が増す「ビジネスサイド」と「情報システム」

AI駆動開発が普及すると、ソフトウェア開発のハードルは着実に下がります。

すると相対的に、 ソフトウェアを活用して成果を出すビジネスサイドの重要性が増します。

求められるのは次のような力です。

  • ビジネス遂行能力
  • ソフトウェアを前提にした業務設計
  • 部門を跨いだ連携を成立させるチーム力

同時に、情報システム部門も変わります。これまでの「人間が読む前提」のドキュメントではなく、 AIが読めるドキュメントを整備する重要性が増します。

ExcelドキュメントはAIにとって読みにくい

日本の現場で重視されてきたExcel中心のドキュメントは、AIにとっては読みにくく、価値を発揮しにくいです。

それよりも、次が重要になります。

  • 絵でごまかさず、文章で要件を表現する
  • 図はMermaidやDraw.ioなどで、つながりを途切れなく表現する
  • AIが解釈しやすい構造(見出し、箇条書き、用語定義)を徹底する

次の焦点は「データ活用」へ移る

ソフトウェア活用が当たり前になると、次に重要性が増すのはデータ活用です。

  • 勘や経験がデータとして記録される
  • 過去について、推測ではなく事実ベースで共有できる

一方で、データはあくまでデータです。解釈は人によって異なります。事実を共有し、方向性やアクションを決めるのは、 最後は人間です。

ビジネスも教育も、あらゆる業界でソフトウェアとデータの活用は進みます。それらを武器として使いこなす力が、これまで以上に重要になります。

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