私は大手コンサルティング会社アクセンチュアを2006年に退職して以降、ずっとフリーランスのコンサルタントとして働いてきましたが、2024年に人生における一大決心をしました。
2015年から9年もの長い間継続していたコンサルティングのプロジェクト契約を終了し、2024年5月に東京から生まれ故郷の札幌に家族4人で移住する決断をしました。
40代のフリーランスが安定稼働のプロジェクトを自ら畳み、家族も説得した上で地方に移住してきた理由を解説します。
移住の理由は大きく分けて2つあります。
子どもの受験戦争回避のため
私は現在、5歳と1歳の子どもがいます。人生における主人公は独身時代ずっと自分自身でしたが、所帯を持って以降は子どもが人生の主人公に取って代わりました。自分は子どものサポーターというポジションとなり、人生の選択をする時に常に「子どもにとって幸せかどうか」を主軸に考えるようになりました。
東京で子育てをしていると、否が応でも受験戦争に巻き込まれるという話をパパママの先輩たちからよく聞きます。「受験させたくないんだったら、自分の子どもだけ塾に行かせなければいいだけでしょ」と思うかもしれませんが、小学校4年生くらいになると回りの友だちが一斉に塾に通い始めて、放課後に一緒に遊ぶ子どもがいなくなるそうです。
「半年だけ働く」という自由なライフスタイルを20年続けてきた経験から思うのは、幼少期は好きなことに没頭し、やる気を育むことこそが重要なのではないか?という点です。
勉強ができることに越したことはありませんが、今の時代、生成AIが人間の様々な仕事を代替するようになってきました。我が子が社会人になる15~20年後において、果たして「勉強ができること」がどれほど重要なことなのか、予想するのも難しいです。
「努力は夢中に勝てない」という孔子の格言にあるように、少年時代はまず、子どもにとって無我夢中に取り組める分野はどこなのかを見つけ出すことが重要だと考えています。
更に外からの圧力で無理やり勉強させる環境に子どもを置くことは、「自らの意思で自発的に行動する人間」になれなくなるリスクがあるなとも感じます。
そうやって思考を巡らせながら、「子育てをする環境はどこが最適か?」を妻と何度も相談した結果、大自然に囲まれながら自由にのびのびと暮らせる北海道への移住を決めた、というわけです。
人生後半に向けたキャリアチェンジのため
次に自分を主軸に置いて、今後の人生を考えてみました。
私はコンサルティングという仕事をアクセンチュアに入社した2000年から四半世紀も続けてきました。最近は、クライアントに直付きで入っている個人コンサルティングのプロジェクトが9年も続いていて、正直若干のマンネリ感がありました。
フリーランスのコンサル稼働と並行して、15年前から企業内研修の外部講師案件を月に数回、請け負っているのですが、ここ数年はコンサル業よりも講師業の方がより遣り甲斐を感じるようになってきました。
小学生の頃の夢が「学校の先生」であった時期もあり、「教えること」はまさに自分にとって天職なのではないかと感じる自分の存在に気付きました。
人生後半のキャリアを考えると、このままコンサル現場の最前線でバリバリ稼働するよりも、後進の指導をメインにする仕事に切り替えた方が、より人生の充実度は増すのでは?と考えるようになったのです。
そこで講師案件を紹介してくれていた株式会社チェンジの社長と数年前から交渉を重ね、北海道オフィスを設立してもらい、今後は北海道を拠点にして人材育成業を営んでいく段取りを整えました。
とはいえ、「半年だけ働く」ライフスタイルは継続したいため、会社員としてではなく、業務委託契約を結ぶ形で仕事をしていくことになります。
2023年に出版されベストセラーとなった「人生後半の戦略書」でも、加齢に伴う能力の衰えに抗うのではなく、革新者から教育者へのシフトチェンジをすることが、幸福への第一歩と説かれています。移住を考えている時にこの本と出会い、自分の目指すべき方向性は間違ってないんだと確信しました。
リモートワーク文化の浸透が大きい
このように、家族と自分自身、両方を主語にして人生を再設計し、北海道への移住が最適解であるという結論に辿り着き、昨年実行に移しました。
移住してきて10カ月が経ちましたが、北海道での人材育成業の立ち上げはまだ道半ばです。様々な企業に営業活動を行っていますが、現在は種蒔きの時期。数年後の収穫に向けて、地道な作業を行っているところです。
北海道での案件獲得と並行で、東京の研修案件をリモートで請け負っているので、キャッシュフローは問題なく回っています。コロナ禍を経てリモートワークが浸透したことで、北海道に居ながらも東京の研修講師案件を担当できるようになったのは、非常に大きいなと感じています。
北海道とは縁もゆかりもなかった妻も、移住してきて本当に良かったと言ってくれています。子どもたちも新しい保育園にも馴染んできて、この冬は東京ではできなかった雪遊びに没頭する日々です。
コンサルティング業界の大先輩である大前研一氏は、以下のような格言を残しています。
“人間が変わる方法は3つしかない。時間配分を変える、住む場所を変える、付き合う人を変える。この3つの方法でしか人間は変わらない。最も無意味なのは『決意を新たにする』ことだ。”
たしかに、移住すると人生が一変します。自分で実際にやってみて、しみじみと実感しています。現状に不満を感じている方、何か新しい環境に身を置きたいと考えている方は是非参考にしてみてください。