前回の続きで、節税について話しをしていきます。
節税には、お金の出る節税とお金の出ない節税があります。
前回は、お金の出る節税の例で生命保険加入について書きました。
課税の繰延(払う税金はトータルで同じ)となるケースが多い点に注意です。
税制改正で保険の節税は、かなり使う事が出来なくなりましたが、課税の繰延の考え方を知ると良いと思います。
お金の出ない節税
お金の出ない節税の代表例は、
◆貸倒引当金の計上(中小企業に限定)
売掛金等の債権に対して一定割合を経費計上出来ます。
例えば、売掛金1,000万円×1%=10万円が、貸倒引当金として経費計上出来ます。
◆使われていない(今後も使わない)資産や壊れた資産の除却損計上
◆債権に対しての貸倒損失計上(経費と認められるかどうかを税理士と相談してください)
実は、お金の出ない節税は、あまりありません。
特別償却と税額控除
ここで、特別償却と税額控除について説明をします。
実は、新品の機械装置等一定の金額以上の資産を事業供用(使うという意味)した場合、税務上、特別償却か税額控除を選択出来ます。
・特別償却とは
通常の減価償却費にプラスして (例えば、取得価額の30%) 減価償却する事。
課税の繰延である。(減価償却の合計は同じ。償却するスピードが違うだけ)。
・税額控除とは
法人税(所得税)からダイレクトに税額(取得価額の7%)を引いてくれる事。税減免。

特別償却は課税の繰延
■前提条件
機械装置12,000千円、 耐用年数3年(1年間4,000千円)、税率30%とします。
■特別償却を選択しない場合
1期 | 2期 | 3期 | |
売上 | 100,000 | 100,000 | 100,000 |
経費 | 60,000 | 60,000 | 60,000 |
減価償却費 | 4,000 | 4,000 | 4,000 |
利益 | 36,000 | 36,000 | 36,000 |
税金 | 10,800 | 10,800 | 10,800 |
⇒ 納税合計 32,400千円
■特別償却を選択した場合
12,000千円 × 30% = 3,600千円(特別償却)
3,600千円 + 4,000千円 = 7,600千円計上(1期だけ)
1期 | 2期 | 3期 | |
売上 | 100,000 | 100,000 | 100,000 |
経費 | 60,000 | 60,000 | 60,000 |
減価償却費 | 7,600 | 4,000 | 400 |
利益 | 32,400 | 36,000 | 39,600 |
税金 | 9,720 | 10,800 | 11,880 |
⇒ 納税合計 32,400千円
初年度は納税額が減少しますが、トータルの納税額は同じです。
初年度納税額を減らしたい、来期以降赤字になる可能性が大きい、税率が低くなる場合は、特別償却を選択すると良いです。
税額控除は税の減免
■税額控除を選択した場合
12,000千円 × 7% = 840千円を税金から引ける(1期だけ)
1期 | 2期 | 3期 | |
売上 | 100,000 | 100,000 | 100,000 |
経費 | 60,000 | 60,000 | 60,000 |
減価償却費 | 4,000 | 4,000 | 4,000 |
利益 | 36,000 | 36,000 | 36,000 |
税金 | 9,960 | 10,800 | 10,800 |
⇒ 納税合計 31,560千円
特別償却と比較すると、税額控除は税の減免となります。
通常は、税額控除の方が、トータルで節税額が大きくなります。
それでは。良い一日を!!