今回は、12月に令和5年の税制改正大綱が出ました。最初は、法人に対する税金関係の内容をまとめたいと思います。
法人課税
① 中小企業者等の軽減税率特例等の延長。
中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の適用期限を2年延長。
中小企業投資促進税制と中小企業経営強化税制の対象資産の範囲を一部見直し適用期限を2年延長する。
② 防衛費財源確保の為の法人税等に関する増税
法人税額から500万円を引いた金額に4~4.5%の付加税を課税。課税所得が2,400万円以下の中小企業については対象外。
所得税に対して当分の間、税率1%の付加税(復興特別所得税の税率を1%下げ、課税期間が延長)。
たばこ税を1本につき3円上げる。
適用開始は、令和6年以降の適切な時期。
③ コインランドリー等の節税規制
コインランドリーと暗号資産マイニング用の機械装置で、その管理の概ね全部を他の者に委託する場合、中小企業投資促進税制と中小企業経営強化税制の対象外へ。
本業以外での節税商品であれば、即時償却又は税額控除が適用不可になった。
消費税、その他
① 免税事業者が適格請求書発行事業者になった場合の激変緩和措置
令和5年10月1日から令和8年9月30日までの各課税期間で免税事業者が適格請求書発行事業者になった場合。
その課税期間の消費税納付額を売上に対する消費税の20%とする。
例えば、年間税抜課税売上高が600万円(消費税率10%のみ)であれば、600万円×10%(消費税率)×20%=12万円を納付すれば良い。
② 10,000万円未満インボイス不要の特例
基準期間(2年前)の課税売上高が1億円以下又は特定期間(前期の前半6か月)の課税売上高が5,000万円以下である場合
令和5年10月1日から令和11年9月30日までの課税仕入について
税込価額10,000円未満については一定の事項が記載された帳簿のみで仕入税額控除を認める。(インボイス不要)。
③ 10,000万円未満の適格返還請求書不要の特例(全ての事業者対象)
税込価額10,000円未満の売上返還(値引・返品)については、適格返還請求書を発行不要になった。実務上は、売掛金の入金に伴い振込料負担した部分が適格返還請求書を発行不要となる。
④ 適格請求書発行事業者登録制度の見直し
免税事業者が適格請求書発行事業者の登録申請書を提出し、課税期間の初日から登録を受けようとする場合には、当該課税期間の初日から起算して15日前の日までに登録申請書を提出しなければならない。
適格請求書発行事業者が登録の取消しを求める届出書を提出し、その提出があった課税期間の翌課税期間の初日から登録を取消そうとする場合には、当該翌課税期間の初日から起算して15日前の日までに届出書を提出しなければならない。
⑤ 電子帳簿保存法改正の例外措置
メールに添付された請求書やアマゾン等のHPから購入した決済取引について、原則、改ざん防止措置を講じた電子データの保存が必要です。
しかし、小規模事業者を考慮し、基準期間(2年前)の課税売上高が5,000万円(改正前10,000万円)以下の事業者は、税務調査でダウンロードに応じる事を条件に紙に印刷して保存が可能となった。検索要件不要で実質的に改正への対応が不要となる。
令和6年1月1日以降の電子データ取引について適用。
コラム初回掲載時の税制適用を考慮しております。その後の税制改正で差異が生じた場合は予めご了承ください。
それでは。良い一日を!!